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「隅田川に咲く花でヘッドドレスをつくってみよう」フォトレポート

写真:山本マオ

10月9日(日)「隅田川に咲く花でヘッドドレスをつくってみよう」を開催しました。

トッピングイーストでは、2021年10月から「子どもと地域を、音楽とアートでつなぐ居場所形成プロジェクト」に取り組んでいます。このプロジェクトでは、地域の子どもたちが家や学校以外でも気軽に立ち寄れる場所として事務所を開放し、音楽やアートに触れられるよりどころを目指しています。また、隅田川テラスでは花守活動「はなもりん(通称)」も行い、主にシニア世代の方々と交流を続けています。

今回実施したヘッドドレスワークショップでは、普段あまり話をする機会がない子どもとシニア世代の方々がお互いに関心を持ち、地域で顔の見える関係をつくっていくきっかけにしたい!という想いからスタートしました。

春から準備してきたこの企画。その様子を写真とともにレポートします!

ワークショップの会場は、横網町公園のすぐ南にある築地本願寺慈光院。
関東大震災により犠牲となった人たちを追悼するために築地本願寺が建てたお寺です。

ヘッドドレスワークショップは、慈光院の礼拝堂で開催しました。
ワークショップが始まる前に、「両国橋」「蔵前橋」「厩橋」「駒形橋」「吾妻橋」の5グループにわかれて、ちょっとした自己紹介&おしゃべりタイムからスタート。
会場全体のリラックスしてきたところで、ドラァグクイーンのヴィヴィアン佐藤さんが登場し、ヘッドドレスについてお話をしていただきました。

「ヘッドドレスやお化粧で着飾ることは、全く別の自分に変身するのではなく、どんどん裸になって、本来の自分に戻っていくこと。」

ヘッドドレスがアンテナとなって、自分が元々もっている感情や表現、考えや、普段隠されてしまっている自分自身の大切な一面を取り戻していく。自分自身と向き合いながら、まわりの多様な表現に触れる中で、それが興味や関心となり、自然なコミュニケーションへとつながっていく。そんな場を目指し、ヴィヴィアン佐藤さんにアドバイスをいただきながら、準備を進めてきました。

次に我々の活動紹介と、実際に花守活動に参加している方からもお話を伺いました。

待ちに待ったヘッドドレスづくりがスタート。まずは材料選びです。たくさんのお花やカラフルな布。大小さまざまなおもちゃや、ぬいぐるみなど。山のような材料から選ぶのは一苦労。家からお気に入りの人形をもってきた子や、孫のおもちゃをもってきた方も。持ってきた素材から、お互いの素材をシェアしたり、会話も自然と盛り上がります。

材料を選び終わったら、今度はヘッドドレスの土台に材料を盛り付けていきます。なかなか手が進まなかった子も、一度手を動かし始めると次から次へとイメージがわいてくるのか、最後は時間を忘れて夢中になっていました。

ヘッドドレスが完成したら、続いてメイクタイム。地元の中学生と大学生が考案したワンポイントメイクで目元がキラキラに!

ヘッドドレスも完成し、メイクもして、いよいよポートレイト撮影&ランウェイの時間です。

この日は台風による不安定な天候のため、急遽予定を変更。雨が降り出す前に、ヘッドドレスを身につけて、ご近所の横網町公園を練り歩きました。
グループごとに公園を散策して、気に入った場所で、こだわりのグループショットを撮影。撮影後は休憩もかねて慰霊堂へ。公園の賑やかさとは打って変わって、静かな佇まいの慰霊堂。来年は関東大震災から100年ということもあり、地元の方にこの場所に歴史について少しお話をしていただきました。

再び慈光院へ。締めとなるヘッドドレスのお披露目の時間。ランウェイが始まります。

慈光院の本堂に光り輝くランウェイが登場。軽快な音楽と、ヴィヴィアンさんによるファッションショーさながらのMCでランウェイがスタート。参加者全員が見守る中、ひとりずつ名前を呼ばれ、ランウェイを歩きます。
本堂ステージ中央で立ち止まり、ポートレイト撮影のためにポージング。最初のポーズはみんなぎこちなく、緊張した面持ちでしたが、その場でくるりと回って、もう一度ポーズをとってみると、何やらふっきれたのか、いきいきとした表情に。途中「恥ずかしくて歩きたくない」と言っていた子も、このワークショップでお友達になった子が歩いてる姿をみてやる気になったり、このランウェイにもいろんなドラマがありました。

スタッフコメント・かおりさん
普段から「はなもりん」や隅田川テラスを歩く人たちに支えられながら育った花たち。そのまま大切に守られながらドライフラワーへと変化し、当日はヘッドドレスに生まれ変わり、皆さんと共に無事にランウェイを飾りました。
両国チームはじっくり熟考タイプのメンバーが揃い、最初はイメージを固めるまでに十分な時間が必要でしたが、最後まで集中してそれぞれが満足のいくヘッドドレスを作り上げることができました。
作業中の真剣な表情やヘッドドレスをつけて初めて外へ出た瞬間の「ちょっと恥ずかしい~」といった雰囲気、笑顔あふれて撮影した記念写真と自信をもって自分を表現したランウェイ。ほんの数時間でしたが、くるくると変わる皆さんの表情がとても素敵で、同じ空間を過ごせたことに幸せを感じました。
スタッフコメント・わじさん
「はなもりん」として夏前から育ててきた隅田川花壇の花。そのドライフラワーや花で染めたチュールたちが、いろいろなものと混ざってみなさんのヘッドドレスになっていく豊かな時間。ヘッドドレスを身につけて公園に出かける時のちょっとしたざわめき。グループごとの撮影で、あーでもないこうでもない、とやってみているうちに生まれる一体感。ランウェイで思いがけない自分に出会うような瞬間。
雨にあって計画が変更になったことさえ、なんだかいとおしく思えます。
スタッフコメント・まちゃさん
当日はグループごとに分かれて制作しましたが、厩橋チームは全員が女性の参加者で、それぞれヘッドドレスに飾りたいお人形やお菓子のパッケージなどを持参しており、始まる前から机の上は賑やかでした。目の前に置かれたサンバイザーを見て「?」を目に浮かべていた参加者も、「以前にヘッドドレスを作ったことがあるの。参考になるかと思って」と持参してくれたゆりさんのヘッドドレスを見て「わぁセレブっぽい!綺麗だね」と目を輝かせます。初めてグルーガンを使う子には、大学生のスタッフがどんな角度でつけたいか聞きながら使い方をサポート。お気に入りのお人形を貼り付けてしまうのは悲しいとヴィヴィアンさんに相談すると、それなら針金を通して結んで取り出せるようにする?リボンで結んで洋服みたいにしてみる?と魔法の手で子どもたちの希望を形にしてくれました。公園に出かける頃にはお互い打ち解けて、はにかみながらも楽しそうにお散歩する姿が眩しかったです。
スタッフコメント・はっしーさん
今回は吾妻チームの見守りを担当しました。
制作を見守っていく中で、土台のサンバイザーがまっさらであった時間は最初の僅かな時間だけであり、十人十色のアイデアによってどんどんと個性豊かなヘッドドレスとなっていく素敵な光景が広がっていました。また、お互いの作品に注目し合い、アイデア交換をしてみたり、といった楽しげな雰囲気は、横で見ていた僕も1つ作ってみたくなる程羨ましいものでした。締めのランウェイでは発表が近づくと緊張する子もいましたが、自分の番が来るととても堂々とした足取りで舞台を歩き、ポーズを決めており、感慨深かったです。次回開催も期待したい濃密な時間でした。

無事ランウェイが終了すると、保護者の方がお迎えに来てくれています。このワークショップでは密を避けるのと、他者とのコミュニケーションを促す意味でも親御さんの立ち会いなく“ひとり立ち”した子どもたち。迎えに来た保護者の方にすぐさま今日あった出来事を一生懸命に説明している表情が印象的でした。

ひとりの表現者として舞台に立ったみんなは、このあとおうちでどんなお話をしたのでしょうか。



実施日:2022年10月9日(日)13:30-16:30
場所:築地本願寺慈光院、横網町公園、慰霊堂
講師:ヴィヴィアン佐藤

主催:NPO法人トッピングイースト 、「隅田川 森羅万象 墨に夢」実行委員会
共催:墨田区
協賛:株式会社東京鋲兼、東武鉄道株式会社
協力:築地本願寺慈光院、横網町会
※「隅田川 森羅万象 墨に夢」実行委員会事務局は墨田区文化振興財団が担っています。